北ア常念山脈(長野) 蝶ヶ岳(2677m) 2023年10月22日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 2:37 三股駐車場−−2:48 林道終点−−2:58 吊橋−−3:07 力水−−3:14 ゴジラの木−−4:04 まめうち平−−4:39 蝶沢−−5:41 大滝山分岐−−5:55 蝶ヶ岳 6:09−−6:50 蝶沢−−7:11 まめうち平−−7:37 ゴジラの木−−7:40 力水−−7:45 吊橋−−7:52 林道終点−−8:00 三股駐車場

場所長野県安曇野市
年月日2023年10月22日 日帰り
天候快晴 弱風
山行種類ほぼ一般登山(僅かな積雪、凍結)
交通手段マイカー
駐車場三股の駐車場(第一駐車場)を利用。夏山シーズンの週末にはすぐに満車になってしまい、10分ほど歩く第二駐車場を利用する
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント先日の降雪と当日の強風を考慮して蝶ヶ岳へ。しかし予想外の少雪と風の弱さで爺ヶ岳に行った方良かったと後悔。しかし槍穂は2週間前より白さを増して迫力満点で、南アルプス深南部の中ノ尾根山まではっきりと見えていた。昨夜の悪天でもテントが8張もあったのには驚いた。蝶ヶ岳では初めて雷鳥を見た。


蝶ヶ岳から見た初冠雪した穂高〜槍ヶ岳の稜線


三股第一駐車場 林道終点
力水 ゴジラの木
標高1900m付近。階段に僅かな雪が登場 まめうち平
標高1910m付近。先行者の足跡 標高1950m付近。植物の上に雪が乗る
標高2150m付近。登山道上に雪が現れる 安曇野市街地の夜景
第二ベンチ(標高2280m付近) 標高2550m付近。ライト不要な明るさになる
大滝山分岐 標高2620m付近。夏はお花畑
雷鳥その1。蝶ヶ岳では初めて見た 雷鳥その2
ハイマツ帯に突入。天気予報と違ってほぼ無風 テント場。昨夜は悪天だっただろうに10張弱あった
蝶ヶ岳山頂への最後の道 蝶ヶ岳山頂
蝶ヶ岳から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
蝶ヶ岳から見た穂高連峰〜槍ヶ岳
蝶ヶ岳から見た槍ヶ岳 蝶ヶ岳から見た常念岳
蝶ヶ岳から見た乗鞍岳
蝶ヶ岳から見た木曾御嶽 蝶ヶ岳から見た焼岳
蝶ヶ岳から見た南アルプス(クリックで拡大)
蝶ヶ岳から見た中央アルプス〜木曾御嶽
蝶ヶ岳から見た常念岳への稜線 槍沢の紅葉
下山開始 安曇野側
霧氷ではなく木に雪が乗っている 蝶沢から見た常念岳
まめうち平 ゴジラの木
林道終点 林道の紅葉
三股第一駐車場 三股第一駐車場から見た稜線


 昨年は11月末になっても冬型の気圧配置が現れることがなく、11月中旬の鹿島槍でさえほぼ無雪だったが、今年は今週末で今シーズン2回目の冬型の気圧配置になった。土曜日夜をピークとして今の時期としては強い寒気が流入し、北アルプスは降雪確実である。予報では金曜夜に前線が通過して冬型に移行し、土曜日いっぱいから日曜早朝にかけて冬型が続くとのことで、天気の回復は日曜日である。よって今回は日曜日に出かけることにした。

 行先は雪が豊富であろう後立山にしたいところであるが、予報では日曜朝でも風速は15m/sとかなり強く、気温は-3℃なので体感温度は-20℃近くまで下がることになる。さすがにこの状況は厳しく、最後まで風に当たらない山となるといつもの蝶ヶ岳しかない。後立山よりはずっと雪は少ないだろうからラッセルの心配もない。積雪は10cm程度と予想した。

 土曜日から悪天なので土曜夜の三股第一駐車場はガラガラだろうと思ったら20台近く駐車していてびっくり。あの天気で登った人がこれだけいるとは驚きで、予報では風は20m/sを越えていたはずである。今でも三股で雨が降っているので稜線は吹雪に違いない。林道ゲートに近い場所を確保して酒を飲んで寝た。

 翌朝は午前2時に起床して午前2時半過ぎに出発。時刻が遅いほど天気の回復が進む=風が弱まるはずであるが、今日はマイカーを車検に出す日でありのんびりはできない。山頂に日の出直後に到着する計画である。出発時は満天の星空であるが、稜線まで晴れている保証は無い。30分くらい前に出発していった明かりが見えていたが、蝶ヶ岳かそれとも常念岳だろうか。おそらくは先行者がいると楽になるような積雪ではないと予想しているので、先行者はいてもいなくても問題なしだろう。

 気温は思ったよりは下がっていないが+10℃は割っているだろう。さすがに暑さ対策の扇はもう不要だろうと今シーズン初めて置いていくことに。強風を考慮して手袋は防寒防水タイプとした。2週間前に購入したモスグリーンの防寒テムレスで、一般的に広く売られている水色と違って私の衣類と色が合うのがうれしい。これに使い捨てカイロを仕込めば-3℃でも対応可能である。

 LEDライトを点灯して林道を歩いていると、頭上は星空なのに雨粒だか氷の粒だか分からないが、光を反射する小さな粒が降っていた。ただし体を濡らすような量ではなく、周囲の葉が微かに音を立てる程度であった。標高が上がると霰になったことが分かったが、相変わらず頭上には星が輝いている。ということは風上側から流されてきたことを意味し、少なくとも槍穂の稜線はまだ雪雲がかかっているだろう。下手をすると蝶ヶ岳の稜線も同じかもしれない。まだ山頂まで時間があるので、それまで回復してくれるといいのだが。

 林道終点から登山道に入って三股を直進。前にも後にも光は見えない。今日の気温では水の消費はほぼゼロだろうからと力水で水は補給しなかった。ゴジラの木を通過して「まめうち平」から落ちる北向きの尾根に乗るが風は感じない。今回は北西の風なのでここでは少しは風があっても不思議ではないが、もしかしたら予報がいい方に外れて風が弱いのかもしれない。この予想が正しいかは山頂直下までいかないと分からない。

 まめうち平近くまで高度を上げると木の階段のステップに薄っすらと雪が乗っている。2週間前は標高2300mまで上がらないと雪が見えなかったが、今回は標高1900mで登場である。さて、山頂ではどれくらいの積雪だろうか。

 まめうち平を通過して僅かに下ってから緩やかに登り返すと植物の葉の上に僅かに積雪が見られる様になるが、まだ登山道にはほとんど雪は無い。木道には僅かに雪が乗っていて、その上には先行者の足跡あり。駐車場で見た人は蝶ヶ岳に向かったようだ。今はどれくらいの差があるのか不明だが、おそらく日の出前に山頂に到着するのではなかろうか。

 水が無い蝶沢を通過して北向き斜面をどんどん登っていくと徐々に登山道上に雪が現れるが、思った以上に雪は少なく高度を上げてもほとんど積雪量は変わらず、多いところで1cm程度しかなかった。ただし、場所によっては雪の下に氷が隠れていてツルツルの場所があったが、僅かでも上に雪が乗っているとその下が氷なのか地面なのか分からないので、滑ってコケそうになったことが何度かあった。特に下りが厄介であった。アイゼンを装着してもいいのだが、所々に木の階段があり、そこには薄っすらとしか雪が乗っていないので、アイゼンのまま乗ると階段を大きく痛めてしまう。脱着がめんどうなので、結局は登りも下りもアイゼンは使わなかった。

 午前5時半を過ぎると周囲が明るくなってライトが不要に。樹林の切れ間から見える常念岳は山頂部のみ白くなっているが真っ白ではなく、僅かに雪が乗った程度であろう。これだと蝶ヶ岳の積雪は予想よりずっと少なそうだ。標高2550mを越えても風は全く感じず、本当に稜線での風は弱いようだ。しかし気温はかなり下がっていて、雪を踏むとキュッキュと音がする。下界でこれが生じる時は概ね-5℃以下である。下山後にこの日の長野県内の最低気温を見たら野辺山で約-6℃であった。野辺山の標高は約1400mであり、蝶ヶ岳はこれより1000m以上高いので、野辺山より確実に気温が低かったはずだ。これで強風だったら耐え難い寒さだっただろう。

 大滝山分岐で森林限界を突破。おそらく稜線の風は弱いと思うが念のためにここで防寒装備を追加し、長袖シャツにダウンジャケット、ゴアを着用した。なお、ここまでは半袖に腕カバーだった。

 薄く雪が積もったお花畑から背の高いハイマツの谷間にかかると、半分くらい冬毛に生え変わった雷鳥2羽が登山道の左右に分かれて登場。蝶ヶ岳には何度も登っているが雷鳥を見たのはこれが初めてだった。ハイマツの枝が邪魔でいい写真にはならなかったが撮影。やがてハイマツの奥に分け入って消えた。

 谷間を抜けて低いハイマツ帯に入ると、ハイマツに薄く雪が乗って寒々しい光景だ。積雪量は登山道が北斜面を登ってきた区間よりも少ないくらいで数mm程度だったが、おそらく強風で飛ばされてしまったのだろう。でも今はほぼ無風だ。昨夜は吹雪の最悪の天気だったはずだがテント場には8張あったのにはびっくり。当然ながらテントは霜で真っ白で、完全冬装備でないと寒くて寝られなかっただろう。昔は私も-10℃の中で幕営したが、今はもうそんな気力は無い。ヒュッテ近くの微小ピークや蝶ヶ岳山頂には既に人がいるのが見えた。

 テント場を通過して稜線に出ると僅かに風があるが弱風で、ほとんど雪が無い稜線を僅かに登って蝶ヶ岳山頂に到着。ちょうど日の出タイミングで山頂には先客は10名程度がいて東の空を見たりカメラを構えていた。私が山頂に到着した時に奥秩父からちょうど太陽が顔を出した。今日は頭上にも東の空にも雲は皆無で快晴だが、志賀高原や北信の山々は低い雲がかかって姿が見えなかった。下手をするとあちらではまだ雪が降っているのかも。

 私が写真撮影する場合、操作性の問題でいつも手袋を外して素手で行うのだが、今の気温は低すぎて素手ではすぐに雪の感覚を失いそうなので手袋をしたまま操作してみたが、苦労しながらもどうにか可能だった。空気の透明度は良好で南アルプス深南部の中ノ尾根山まではっきりと見えていた。蝶ヶ岳は北アルプスの山としては低い部類なので西〜北にかけては他の山でブロックされて遠望はできないが、水晶岳や野口五郎岳など裏銀座の山は真っ白にはっきりと見えていた。今日の空気の透明度なら奥日光の山々が見えても不思議ではないが、鳥居峠の向こう側は低い雲がかかって見ることはできなかった。残念。南から南西には中央アルプス、恵那山、木曾御嶽にかけての長野/岐阜県境の山々がすっきりと見えていた。

 風は無いものの気温は低く、長時間の休憩は体を冷やして寒さが厳しい。今回は疲労はほとんど感じなかったこともあり、展望を楽しんだだけで下山を始めることにした。山頂の滞在時間は15分ほどだったが、山頂にいた他の人は全て小屋へと戻っていった。

 山頂付近から麓を見るとだいぶ下の方が紅葉しているのが見えた。長野県ではそろそろ市街地が紅葉する時期に入ってきている。

 下山時は登りよりも滑りやすいので注意が必要。特に雪が薄く乗った木の階段は厄介な存在だった。しかし標高2300m付近以下では登山道上に雪はほとんど無くなって安心して歩けるようになる。徐々にすれ違う登りの登山者が増えてくるが、やはり今の時期は夏山シーズンよりは人数は少なく、合計100人以下であった。蝶ヶ岳ヒュッテの今年の営業は11/4までの予定であり、それまではそこそこの人数が上がってくるだろう。三股林道の冬季通行止めは12/1からであり、ヒュッテの営業終了後も林道閉鎖までは私のように日帰りの入山者はいるだろう。ただし、例年では林道閉鎖が近付くと三股駐車場のトイレが先に閉鎖されてしまうのであった。

 登山道を下り終えて林道を歩いているときでもすれ違う登山者あり。まだ時刻は午前8時前だからなぁ。三股第一駐車場に戻ると隣の車の主が出発準備中。夜中遅くに上がってきた車だったのでこの時間まで寝ていたのだろう。ということは月曜は休みで今日はのんびり登って山の上で宿泊だろう。ザックの大きさは日帰りのものではなかった。今日、明日とも穏やかな天気に恵まれそうだ。

 この時期でも駐車場はほぼ満車で、駐車場入口付近の数台分しか空いていなかったのには驚いた。でも夏山シーズンの週末なら完全満車で林道脇の駐車余地にも車が見られ、第二駐車場も満車になることも。今回は林道路側や第二駐車場に車は皆無であった。

 

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